アルヒフラット35 被害者のブログ

アルヒフラット35不正融資被害者を救いたい!

不動産投資詐欺の話。人の心に寄り添う営業マン

これは自分が不動産投資詐欺に引っかかったときのことです。

こう聞くと多くの人が「欲をかいて投資に失敗しただけで自業自得」という感想を持つだろうと思います。ですが、たとえばこんな経緯で騙された人もいて、必ずしも卑しさだけで失敗するわけではないと理解していただけたらと思います。

 

 

 

当時の私の状況

私は20代半ば、新卒で就職してしばらくした頃に心を病んでしまいました。そうなった原因などは端折りますが、思い返しても回避するのは難しい状況で、ただただ運が悪かったのだと思っています。

その頃にお付き合いした人と結婚して子どもを授かり、人生が良い方向に向かうのではと期待したりもしましたが、やはり精神を蝕まれた状態ではうまくいきませんでした。

しばしば言い知れない不安に襲われ、夜もうまく眠ることができず、仕事が手につかなくなって長く休職するも、そのことでまた不安を大きくするような状況でした。心療内科に通院していましたが、自分に適した薬に辿りつくのが思いのほか難しく、それ自体もストレスになっていた気がします。

妻との関係もうまくいかず、あるとき妻は子どもを連れて出ていきました。そしてすぐに調停を申し立てた旨の連絡を受け、何度か裁判所に足を運んで離婚が成立しました。

 

 

1件目のマンションを購入

離婚が成立する頃にはすでに復職していましたが、心の病から抜け出したわけではありませんでした。休職できる期間がリミットを迎え、そのまま休むならば会社を辞めなければならない状況だったために復職したのでした。

妻と子がいたときのアパートにそのまま住み続け、会社には通うものの常に頭にモヤがかかったような状態でした。

そんなところに、最初のマンションの営業が訪問してきました。

この人からは都内の単身者向け新築マンションを購入するのですが、こちらについては決して悪い物件ではなかったと思います。精神を病んで判断力を失っていたとはいえ、自宅に訪問してきたよくわからない人と不動産の取り引きをするというのは正気の沙汰ではありませんが、その人には被害に遭わされたりはしていません。いろいろと不安はありましたが、紹介された物件自体は今調べても適正な価格でした。

そしてその物件に住むことになりました。

 

 

不安との戦い

一応の財産ができたなどと思い、少しの間は気持ちが上向きになっていたような気がします。ですが、やはり心は簡単には元に戻らず、次第に不安に襲われる頻度が高まり、強い恐怖を覚えたりもしました。そういう病気の典型的な症状でもある「自分は経済的に困窮していて、もう生活できない」という妄想に苦しむようにもなっていました。

ローンを抱えていることも苦痛になり、その物件を紹介してくれた営業さんに売却したいと相談したりもしましたが「こんなに早く手放すと損をする」とだけ言われ、あまり取り合ってもらえませんでした。今思えばその営業さんは正しかったのですが、そのとき「この人には相談に乗ってもらえないのだ」と思ってしまいました。

次第に症状は悪化し、仕事を長く休んで入院することになったりしました。退院後も作業療法認知行動療法など長いリハビリをしていましたが、体調は良くなったり悪くなったりを繰り返す状態でした。そういうときに、次の営業がやってきました。

 

 

「楽になる提案ができる」と言われた

その営業は、見るからに好青年といった見た目で「いいマンションですけど、ローン大変じゃないですか?」と言ってきました。自分は経済的に困っていた(少なくともそう思っていた)ので、そのとき自分の話を聞いてくれるその人が救いに思え、話を聞くことにしてしまいました。人のよさそうな顔で「楽になるご提案ができると思います」と言うその男を信用することにしてしまいました。精神の病気があるのでローンは通らないだろうと伝えましたが、銀行に伏せておけば大丈夫なので頑張りましょうなどと言う相手を親切な人だと思うことにしてしまいました。

その営業は、月々の負担を軽くするために中古のマンションに買い替えることを提案してきました。その割にその物件の価格はまったく安くありませんでしたが、いろいろ言われて丸め込まれてしまいました。考える気力も失っていたので「いろいろあるのだろう」などと考えるのを諦めてしまいました。

紹介された物件は、そのとき住んでいたマンションよりは確かに広いものでしたが、あまり栄えていない街の、最寄り駅から20分近く歩く場所だったので少し変な気はしました。

また、中を見せてはもらったものの、当時まだ別の人が住んでいるとのことで、契約する部屋と同じ建物の別の部屋でした。

 

 

気づけば貸すことに

住んでいる人がいるというのは変な気がしましたが、相手の機嫌を損ねたくないということもあって黙っていました。

そして結局そのまま契約を進めることになり、いつの間にか自分はその物件に住まず、その住んでいる人に貸すという話になっていました。変だとも思ったんですが、親切にしてくれている相手を疑うのは失礼だとか馬鹿なことを思っていました。

貸すのは不安でしたが、仮に入居者がいなくなってもサブリース契約で一定の収入は保証されるだとか言われ、その管理をするという業者を紹介されました。住宅ローンは自分が住む物件でなければならないので、住民票をその物件の住所に移したりして、かなり怪しいことをさせられていましたが、言われるがままにしていました。もしかしたら損をするのかもしれないとも思った気がしますが、目の前の相手と険悪になりたくなくて従っていました。

 

 

住宅金融支援機構から一括返済請求

その後いろいろなことがあったんですが、かいつまんで言えば賃貸の管理をすると紹介された業者は音信不通になり、住宅金融支援機構から連絡がありました。

住んでいる実態がないので住宅ローンは続けさせられない、残りは物件を売却して一括で返してもらうということでした。そしてその物件は組まされたローンの金額に対してとんでもなく価値の低いもので、売却したとしても到底ローンを返しきれるものではありませんでした。

似た状況の人は少なくないようで、そういった問題を扱う弁護士さんにも相談していますが、自分の場合は解決できる見込みが薄いらしく、若干諦められている雰囲気を感じます。

 

 

おわりに

他にも書かなければならないことはたくさんある気がするんですが、なかなかまとまらないので別のエントリにしようと思います。

取りあえず、好青年っぽい見た目だとか、それなりのオフィスを構えているだとかは何の参考にもならないので気をつけてください。

今思えば「そんなものに騙されるとか馬鹿すぎる」と思うんですが、人を騙すプロが相手なので、それなりに被害者が多いということも知っていただければと思います。

自分はもともとお人好しですが、そこに加えて心の病気で判断力を失っていたというのも大きかったです。そんな状態の自分から金を騙し取るなんてひどいと思いますが、そういう人たちからすれば仕事しやすくてラッキーでしかありません。どうせ健康な人だろうと最終的には精神を病むような状況に追い詰めるのですし。

そして、人の精神に悪い影響を与えている人がまわりにいれば、それは重大な結果を招くことがありますのでやめさせてください。自分がそういう人だと自覚しているならすぐにやめてください。

自分みたいな思いをする人がいない世の中であってほしかったと心から思います。

これは自分が不動産投資詐欺に引っかかったときのことです。こう聞くと多くの人が「欲をかいて投資に失敗しただけで自業自得」という感想を持つだろうと思います。ですが、たとえばこんな経緯で騙された人もいて、必ずしも卑しさだけで失敗するわけではないと理解していただけたらと思います。